――今回、「関西活性化プロジェクト」にマッチングを依頼され、紹介されたCIさんにアプリ開発を依頼された経緯をお教えください。
江川社長 既存顧客の囲い込みを行って、リピートオーダーや紹介をいかに増やすかが課題となっていたんです。元々リフォーム件数の3分の1はリピートもしくは紹介のお客様なので多いほうだとは思うんですが、これをさらに増やしていくためにはどうすればいいかを考え、アプリを開発してお客様と更に関係を構築していこうと思いついたのです。その機能を検討する中で、家電量販店のようなポイント制度を導入したらどうかというアイデアも湧きました。当社でリフォームをされたお客様にポイントを付与し、そのお客様が次にまたリフォームをされる時に、せっかくポイントがあるならこれを使おうか、といった動機付けができればいいということが一つです。
それと、見積書や工事履歴、ビフォーアフターの写真といったものをアプリの中に格納できたら、お客様がそれをいつでも見られていいのではないかという考えもあります。
さらに欲が出て、お客様とのやり取りの履歴も残せれば、「言った、言わない」といったトラブルも無くせると。そこで、LINEのようなメッセージ機能も盛り込みたいと、この3つの機能を搭載したアプリ開発をお願いしたいとCIさんに依頼しました。
――なるほど。そのやり取りの部分は、それまで営業担当者がメールなり電話なりでされていた。
江川社長 もちろんです。それに加え、年に2回ほど「どこか傷んでいるところはありませんか?」などと往復ハガキを送ったりもしています。こうしたアナログな動きを、デジタル化できたらいいねということです。
――ポイント制度は今までなかったのですね?
江川社長 5000円の工事券をお渡ししたことはありましたが、ポイント制度はやってませんでした。
――既存顧客のアップセルについて、ほかに何か案があったのですか?
江川社長 いや、アプリを思いついただけです。そこで、1年ほど前から、システム担当の林を交えていろいろなシステム開発会社に相談したんです。けれども、どこも腰が重いんです。「AndroidとiOSでそれぞれ2000万円ずつ、併せて頑張っても3500万円かかりますけど」とか言われ、それっきり連絡がなかったり。そんな感じでなかなか話が進められませんでした。そんな時に、パズルさんからCIさんを紹介してもらったのです。
北野 江川社長から「アプリ開発できる会社はないか?」とメールが来て、早速お伺いしてCIさんが一番いいかなと。
――でも、どうして開発会社は腰が重かったんでしょうね?
湯尾社長 システム開発会社ってエンジニア集団が多いので、つくるところはやりますが、ぼやっとしたところからの企画や設計は苦手なところが多いからだと思います。よくわからないから金額も高めに出してしまうわけです。
――なるほど、要件定義が難しいところがネックになったと。そこで、実際にCIさんを紹介されてからはトントン拍子に?
江川社長 いや、最初は思っていたのと違う、LINEを使うというご提案でした。「あれ? 3機能を盛り込んだアプリではないやん」と。でも、CIさんは「アプリだと長い年月のうちに削除されてしまう可能性があるが、LINEなら消されない」と言われたのです。そうこうしているうちに、いろんなところがLINEを使い出したんで、これでいいのかな、と思いました。
――フルスクラッチよりも、LINEを使うほうがいいと提案されたのは?
湯尾社長 会社として常にどんなサービスが来るかをウォッチしていますが、ちょうどLINE がトレンドになっていました。それと、同じ業界で地域が一緒のナサホームさんを知っていたので、顧客層とか大体イメージできたのです。20~40代を狙うなら、みんな使っているLINEがいいのではとまずはご提案したわけです。
――では、この両者のマッチングはぴったりだったわけですね。
(一同、うなづく)
江川社長 全然違う提案をしてもらって、林くん、この人たち頭ええんやなという印象なかった?
林さん そうですね。簡単に言うと、ほかのシステム会社さんより営業がうまいな、と。
(一同、爆笑)
林さん 仕事上、システム会社の人とよく話すんですが、会話がめちゃめちゃ大変なんです。でもCIさんは話し方とかが理解しやすいんです。こっちのやりたいことをどう叶えてくれるか、若干違った部分もありましたが、最終的に我々がやりたいことを汲み取ってくれました。賢いなぁ、と感じましたね。
――コミュニケーションに長けておられる。
北野 確かに、システム会社チックではないですね。
――商談が成立してからは、どんな感じで進んでいったのでしょうか? 開発プロセスで大変だったこととか。
江川社長 その辺は難しい話だったので、込み入った話になった段階で林に丸投げして抜けました(笑)。
林さん 当社の基幹システムに顧客情報が入っているわけですが、新たにつくるアプリに同じ顧客情報を入力するのは手間なので連携させてほしかったのです。そこで私はどっちのシステムも分かっていなかったので間に入らず、基幹システムの開発会社と勝手に会話して進めてもらおうと。それをやってくれて、私はやり取りを端で見ていてわからないことを聞くとかぐらいでした。本当にわからないことはスルーして、やってほしいことだけ言いましたが(笑)。そのおかげでとてもスムーズに進んだと思います。基幹システムとの連携は、うまくいかないと相手のせいにし合うといった問題が起こりがちなんですが、それが全くありませんでした。相手方の頑張りもあったでしょうが、助かりましたね。
――ストレスなく進行できたのですね。
林さん 多分CIさんも基幹システム側もストレスはあったでしょうが、私はなかったです。
(一同、笑)
中村さん 基幹システムの人と直接やり取りできたのは、アプリ開発側としては非常にやりやすかったです。要件定義も林さんと連携取って進められましたし、その後「質疑応答表」を投げ合う形にしていたので、このプロジェクトはかなりスムーズに運べたと思います。「質疑応答表」は、相手の返答を待つ間作業が停滞することを防げるため、コミュニケーションを取らなければならないリモートでの業務に有効なんです。
林さん 期間が長いので、最初に取り決めたことなど忘れてしまいがちです。自分が言ったことも忘れてしまう。なので、言いたいことを「質疑応答表」に打ち込んでやり取りしましたが、その回答を見てチェックできたので楽でした。これもスムーズに行った要因かもしれません。
――開発期間はどれぐらいでしたか?
湯尾社長 スタートしたのが2021年7月で、完成したのが2022年の3月です。
――完成したアプリを見てどう思いましたか?
江川社長 実は、まだテスト中なんです。というのも、3機能のうちのポイント制度について、将来の収益見込みと割引分の見合いを検討する必要が生じ、稼働できていないからです。それと、LINEのようなメッセージ機能は画期的かと思っていたら、個人アカウントでお客様とやり取りしている社員が「ストレスを感じている」と。夜の11時にメッセージが来て、もう遅いから返信は明日にしようと控えていると、「なんで返信しないんや」というメッセージが来るというんです。そんなことへの反感もあって、やるのならば会社のアカウントだけにするとかの折衷案も考えていますが、使い方をよく考える必要があると思っています。
ポイント制度があれば、それと連動して顧客データを保存するために社員も使っていくと思うんですが、ポイント制度がなくLINEも検討中ならば、営業担当者はデータ保存作業が純増するだけなので、負荷になってしまいます。ですので、ポイント制度を正式に運用できるようになるまで、局地的に少数の営業担当者に使わせて、使い勝手の問題点の洗い出しでもしようと考えています。
林さん それと、当社では電子契約システムも導入する計画があり、それとの連携も考えています。
――なるほど。では、これからさらに満足いくアプリになっていくということですね。
江川社長 そうなるように、育てていくものだと思っています。
林さん 例えば、見積もり中のお客様だけに一斉送信することがLINEではできるので、そういった使い方を広げていければと思っています。
江川社長 アプリ開発の補助金も無事に下りました。その申請をアレンジしてくれたのもパズルさんでしたね。
――何か困ったことがあれば、パズルさんに相談していると。
江川社長 ドラえもんのポケットのようやな(笑)。いろいろな業務でマッチングしてもらったのは3社4社ではないと思います。関西活性化プロジェクトのカモですね。
(一同、爆笑)
北野 うまくご活用いただいています(笑)
――CIさんもよく相談されているんですか?
湯尾社長 相談する前に、勝手に持ってきてくれます(笑)。助かってますよ。
――ほかにもマッチングサービスはいろいろとあると思いますが、パズルさんはどこがいいのですか?
江川社長 銀行さんなどがよくやられていますが、ミスマッチが多いんです。銀行が言うならとお会いしますが、一回の面談で終わるケースが99%です。
――そんなに。
江川社長 パズルさんは記憶力が半端ないと思います。頭の中に登録している会社のデータが全部入ってるんじゃないですか? 本当に感心しています。
北野 といっても180社ぐらいですが。
湯尾社長 紹介される人とは、普通に仲良くなって一緒に飲みに行くというパターンが多いですね。
北野 おそらく、パズルを介して「類は友を呼ぶ」的なネットワークができているのだと思っています。
――では、ミスマッチもないと。
北野 8割は取引に至っていますね。
――では、これからも何かあったら、パズルさんですね。
江川社長 ネギ背負って行きますわ。
(一同、爆笑)